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「医学部に受かる為」の医学部受験対策の全体像と基本戦略
医学部受験はただ闇雲に知識を詰め込むだけでなく、どの知識をいつ、どのように学ぶかの戦略も重要となります。ここでは、科目ごとの重要度や、それぞれの科目で特に重要視すべきポイント、基礎固めの段階での焦点をあてるべき学習範囲など、効果的な学習の進め方について紹介します。
①勉強の優先順位を正しく設定する。科目別の重要度を理解し、勉強の時間配分を最適化する
医学部受験では、複数の科目を効率よく学び、得意分野を最大限に発揮する必要があります。これはただ単に受験で必要な科目全科目を均等に学ぶのではなく、各大学医学部の各科目の重要度や自分の強み・弱みを分析して、時間配分を調整する戦略的な学習が必要です。
例えば、得点が安定する科目は頻度を減らし、難しい科目や得点にブレがある科目を優先するなど、受験までの時間を有効に活用できる勉強法が重要です。
②志望大学医学部の各科目の出題傾向を把握する。重要ポイントを抑え、得点源を確実にする
各科目の学習範囲はとても広範囲にわたり、すべてを完璧にマスターするのは至難です。しかし、志望大学医学部の出題の傾向や得点に寄与する重要なトピックを把握し、これらを強化する戦略的な勉強法はとても効果的です。
過去問を分析して出題頻度の高い範囲やトピックを特定し、それらに学習の焦点をあてることで、医学部入試までの限られた時間内でも高得点を目指すことができます。
③基礎固めの勉強法:効果的な学習法で基礎をしっかりと築く
基礎固めは、高度な知識を理解するうえで欠かせない要素です。ただし、どれだけ時間をかけても基礎が完全に固まることはなく、ここでもある程度の戦略的な判断が必要です。何をもって「基礎ができている」とするか判断基準を明確にし、それを目標として計画的に学習を進めていくことで、次のステップへスムーズに移行して学習を進めることができます。
具体的には、まず、基礎知識のレベルを確認するために初期段階で受験科目の基礎問題集1冊を一通り解いてみることが有益です。このとき、全てをじっくり解くのではなく、解ける問題はそのまま解いて、解けない問題には時間をかけずにチェックだけして、自分が強化すべきポイントを全体的に確認していってください。これにより、どの部分の知識が不足しているか、どのトピックが自分にとって難しいかを把握しやすくなります。
その上で、その把握した弱点に対して、弱点部分を克服できる最適な参考書や問題集を使って理解を確かめ、深めるサイクルを作ると良いでしょう。弱点が補強されたら、再び幅広い過去問を解き、新たな弱点を見つけ出す。
この「弱点の特定→理解と補強→完成できているかどうかの確認」のサイクルを繰り返すことで、徐々に基礎が固まっていくことを実感できるでしょう。また、間違えた部分だけでなく、正解した部分についても「なぜ正解できたのか」を振り返ることで、理解をさらに深め、知識を定着させる手助けとなります。
④基礎固めの期間:確実な合格に向けて計画的なタイムラインを設定
医学部受験の基礎固めに適した期間としては、一般的に高校1年生の冬から高校2年生の夏までが目安とされます。この時期に基礎の分野を一通りカバーし、その後の期間で応用力を伸ばしていくのが理想的です。この初期の段階でしっかりと基礎を築ければ、その後の過去問演習や模試での対策がスムーズになり、また、複合的な問題に対する理解も深まります。
高校2年生の夏に一度、自分の基礎がしっかりと固まっているかをチェックし、足りない部分を補うための追加学習や対策を講じることも忘れずに行いましょう。このタイミングで基礎が固まっていないと、高校3年生以降の演習と並行する形で基礎固めを行う必要が出てくる可能性があります。
万が一、高校3年生の春になっても基礎がまだ固まっていない場合、浪人生の春でまだ基礎が固まっていない場合でも焦りは禁物です。時間がないからといって、過去問や応用問題ばかり学習しても医学部に合格する学力には到達しません。
まずは未習得の分野や弱点を具体的に洗い出し、それに焦点を絞って効率的に学習を進めることが必要です。
例えば、志望大学医学部の過去問の傾向を確認しながら出題頻度の高い問題や、苦手な分野の問題を中心に集中的に攻める、などの勉強法に取り組みましょう。また、1人で最適な学習内容や学習計画を設計できない場合は予備校、塾の先生のアドバイスを受けることも重要です。時間は限られていますが、残された時間を如何に有効に使うかがポイントとなります。
賢く、焦らず、着実に一歩ずつ進めることで、まだまだ成績の伸びしろはあります。ここでも、「弱点の特定→理解と補強→完成できているかどうかの確認」のサイクルを高速で回していくことをおすすめします。
⑤応用力を鍛える。高度な問題対策と実戦的な演習を重視した学習戦略
応用力を高めるステップは基礎固めが一通り終わった後、概ね高校2年生の夏から高校3年生の医学部入試までの期間に位置します。この時期は、具体的な過去問の演習や模試を利用した実戦的な学習がメインとなりますが、医学部入試レベルの難易度の高い問題は、基礎力をベースに論理的に考え、解法を導き出す力、すなわち応用力が求められます。
まず、過去問を年代別、志望大学別に分けて解いていき、それぞれの大学の出題傾向を把握するようにしましょう。そして出題される可能性のある難問に取り組むことも応用力を鍛える期間の勉強ではとても重要です。一度解いた過去問も定期的に戻ってきて解くことで、知識の定着と速さを追求します。
応用力を鍛える実践学習を行う段階では、解けなかった問題や間違えた問題の徹底的な分析が欠かせません。間違えた理由は何か、解けなかった要因は何かを明確にし、その補強を行うことで着実に応用力を身につけましょう。
応用力を身につけることで、臨機応変に様々な問題に対応可能となり、実際の試験でも安定したパフォーマンスを発揮できるようになります。日々の学習のPDCAサイクルを高速で回し、自分自身の学習を日々アップデートしていくことが、医学部合格への道を切り開くカギとなります。
医学部受験勉強はいつから始める?
医学部受験は大学受験の中でも最難関に位置します。医学部受験は科目数が多い上に出題範囲が広く、現役合格を目指すためには、よほどの高い学力がない限りは高3から受験勉強を始めたのでは間に合いません。
では、医学部受験のための勉強はいつから始めるべきなのでしょうか?
遅くとも高2の春から始めることをオススメします。理想的には高1から始めるのが良いでしょう。
医学部受験を考えている中高一貫校の生徒は、中学段階から高校の学習内容に踏み込んで対策を進めています。彼らをライバルとして医学部受験に臨むのですから、思い立ったらすぐに取り組みましょう。
学習の目安としては、高1の終わりまでに数1A・2BCと英語を一通り学習し、高2の終わり(受験1年前の共通テスト)までには共通テストで最低8割得点できる実力をつけておくことが必須です。
調査結果が示す「医学部現役合格生」の受験勉強の開始時期
医学部現役合格生に調査した結果、約7割(71.9%)が高校2年生までに受験勉強を開始している事がわかりました。
高校1年生で医学部受験勉強を開始した医学部現役合格生は、高1の春(4〜6月)までに受験勉強を開始した医学部受験生は全体の約2割(23.6%)と集中しており、高1までに医学部受験勉強を開始した学生は合計で約4割(38.2%)にものぼりました。3人に1人が高校1年生までに医学部受験勉強をスタートしているという驚きの結果がわかりました。
この調査結果から、医学部現役合格を果たすためには、早期からの計画的な準備が不可欠であることが明確にわかります。
国公立大学医学部の共通テスト対策の勉強はいつから始めるべき?
国公立大学の医学部を受験するにあたって、共通テスト対策の勉強はいつから始めればいいでしょうか。
現在の学力やかけられる時間、受験する大学などによって違いはありますが、二次試験の勉強については十分に対策ができているという前提で考えるなら、遅くても11月頃から始めることをおすすめします。共通テストでボーダーを下回ると足切りとなります。または共通テストで失敗すると、二次試験でできがよかったとしても合格が不可能となってしまう場合があります。そのため、共通テストで十分な高得点を見込めるよう、遅くても11月頃には共通テスト対策を始めましょう。
11月・12月に大手予備校の共通テスト模試が開催されます。これを受験して自分に足りないもの、苦手な科目や問題などを把握・分析し、早急に対策をしなくてはなりません。
共通テスト利用を実施する私立大学医学部対策の勉強はいつから始めるべき?
私立大学医学部の入試方法には、「一般型方式」と「共通テスト利用方式」の2種類があります。共通テスト利用方式を採用しているところは徐々に増えてきていて、おおよそ半数以上の私立大学医学部で採用しています。国公立大学医学部を受験する人は必然的に共通テストを受けるわけですので、それを利用して出願大学を増やせることにはメリットがあります。
国公立大学を第一志望にしている人は、上記の「国公立大学医学部の共通テスト対策勉強はいつから始めるべき?」に準じて共通テスト対策を始めていただきたいと思います。
一方で私立大学の医学部を第一志望にしている人の場合は、注意が必要です。 一般入試の受験科目である英語・数学・理科に関しては十分に対策をするでしょうし、理科(物理・化学・生物)は大学独自試験に比べると難易度は下がります。また、共通テストの数学はⅠA・ⅡBCまでが範囲ですので、一般入試対策をしている人からすれば特別な対策は必要ないと言えます。
ただ、受験する大学によって、医学部受験生には必修科目である英語・数学・理科以外の教科(国語や社会)が必要なところがあります。 共通テストは、以前より思考力や判断力が求められる出題が増え、難易度が上がりました。そのため、国語・社会を入試科目に含める大学を受験する場合は、しっかりした準備が必要です。
国語や社会に不安がある場合は前倒しして準備を始めましょう。とくに社会に関しては繰り返し学習することで確実に得点が伸びる教科ですので、直前期に集中してやるよりも、早い段階から継続的に学習することが得点アップに繋がります。
「今」から医学部に合格する為に必要な勉強時間・勉強量の目安と学習計画
医学部合格への成功への鍵は、計画的な勉強と適切な勉強時間と勉強量にあります。あなたが高校1年生であろうと、高校2年生、高校3年生、あるいは浪人生であろうと、医学部に受かりたいのであれば、合格に向けた勉強の旅は、「今」この瞬間から始まります。
以下に「今」から医学部の勉強をスタートする受験生に必要な勉強時間や勉強量の目安、そして学習計画の立て方について記載していますので参考にしてください。
医学部の共通テストボーダーは?何割とれば大丈夫?
共通テストのボーダーとは、「共通テストで◯◯点/何割を取ったら受験者の半分が合格できる」という目安のことです。
仮にボーダーが90%の場合であれば、共通テストで90%をとれば合格確率が半分あるということになります。
医学部の共通テストに関しては、
・国語でも得点率9割が必要 ・理数科目は全教科満点が当然 ・国公立大学医学部に合格するには、平均点で9割取れないと厳しい |
といったことが言われたりします。
国公立大学の医学部合格のためには、大学によるものの、共通テストで85%以上の得点率が必要になります。実際の医学部受験対策では、90%以上の得点率を狙った学習が必須です。
共通テスト対策で二次試験に向けた基礎を固めることも意識し、マーク式・記述式に関わらず問いの本質的な理解と解答力を習得しましょう。
医学部受験生は、一般的に理系科目が得意な傾向にあるでしょうから、目安として、数学と理科3科目のうちの2科目以上で95%以上の得点率を狙って学習を進めましょう。
高得点であることが望ましいのは当然ですが、大学によって必ずしも全教科で9割が必要であるとは限りません。もちろん足切りは避けなければいけませんが、大学によって、共通テストと二次試験の配点比率や科目ごとの配点は異なり、英数理の実力があれば、二次試験で十分挽回できます。
共通テストの試験の難化に伴ってボーダーが若干下がる傾向もありますので、受験する大学のボーダーをリサーチし、情報に振り回されないようにしましょう。
医学部2次試験に受かるには?合格に向けた目標設定と対策
医学部2次試験に受かるために、効果的な学習計画を立て、実行することが重要です。2次試験合格に必要な学習戦略を立てる為に必要な情報を紹介しますので参考にしてください。医学部2次試験の合格を目指しましょう
医学部2次試験の目標偏差値
医学部2次試験に合格するためには、偏差値65以上を最低目指す必要があるというのが一般的ですが、志望大学の選択肢を増やしたい場合は偏差値70以上を基準に目指す必要があります。目指す学力基準をどこに持っていくかで、入試までの学習スケジュールや日々の学習計画も変わってきます。
学習科目の優先順位の選定と勉強時間の重要性
英語、数学、理科科目に焦点を当てた科目選定が重要であり、医学部合格には学校以外の学習時間でトータル5,000時間以上の勉強が必要とされます。勉強時間だけでなく、勉強効率と日々のスケジュール管理も合格への鍵を握ります。
ただし、この勉強時間は医学部受験生それぞれで違い、加えてそれぞれの受験生で科目別に配分する勉強時間は変わります。
例えば、数学が得意で英語が苦手な場合は、数学よりも英語に配分する勉強時間が多くなります。なので、全科目均等に勉強時間を配分するのではなく、自己分析をしっかりと行い自分自身の得意不得意と志望大学医学部の2次試験の各科目の配点比率に合わせた戦略的な勉強時間の配分が必要です。
2次試験では高い記述力が求められる
二次試験では、標準レベルの問題や典型問題でいかに確実に得点できるかがカギとなります。これらの問題で確実に得点するためには、大量の問題数に対応できる解答・記述スピード、ミスをしない答案作成・記述の正確さが必須です。
もちろん難問の出題もありますが、難問対策だけに力を入れていると、意外な落とし穴がありますので、基礎を固めてから応用問題の学習に取り組みましょう。
医学部の小論文対策
小論文の基本的な書き方をマスターし、論証プロセスに説得力を持たせることが重要です。
・医学に関する深い理解を築く まず、医学に関連する基礎知識を深めることが重要です。医学の歴史、現在の課題、未来の展望について学ぶことで、論文の内容がより豊かになります。 ・効果的な文章力と構成力の向上 文章を書く技術と、論理的な構成力を鍛えることが不可欠です。明確な主張と、それを支える論拠を組み立てる能力を身につけましょう。 ・説得力のある論証プロセス 結論に至るまでの論証に説得力を持たせることで、読み手を納得させることが可能になります。論理的でわかりやすい説明を心がけましょう。 ・継続的なライティング練習 日常的に文章を書く練習をすることで、自然と文章力が向上します。さまざまなテーマにチャレンジし、反復練習によりスキルアップを図りましょう。 ・過去問題に挑戦 志望大学医学部の過去の小論文問題に取り組むことで、試験の傾向と対策を理解しましょう。これは、試験対策の中核となります。 ・学校の先生や塾・予備校講師による添削の利用 学校の先生や塾や予備校の講師に添削を依頼したりすることで、客観的なフィードバックを得ることができます。自己反省を繰り返し、文章を磨き上げましょう。 ・医師としての適性を示す 医師として必要な視点や考え方を小論文に反映させることが大切です。医療倫理や患者への思いやりなど、医師に求められる資質を示すことが重要です。 |
これらの対策を通じて、医学部の小論文試験に臨む準備を整えましょう。効果的な準備は、合格への確かな一歩となります。
過去問演習の取り組み
一次試験(共通テスト)終了後に過去問演習を開始することがおすすめです。第一志望校では過去6年分、第二志望校では3年分、それ以降の志望校では1~2年分の演習を目安にしましょう。
効果的な医学部受験の勉強法
医学部受験の成功は、効率的かつ効果的な勉強法にかかっています。長時間の学習だけではなく、どのように学ぶかが重要です。基礎知識の徹底的な理解、自分の得意不得意と志望大学医学部の入試傾向に合わせた科目別の効率的な勉強、そして過去問題の積極的な活用です。また、小論文対策や面接練習など、試験の全領域をカバーする準備が必要になります。この道のりは決して簡単ではありませんが、正しい勉強法を身につけることで、目標達成は現実のものとなります。より詳細な勉強法については、以下のページをご覧ください。