高専(高等専門学校)と高校はどう違うの?の疑問を解決するために、高専についての詳細や、高専と高校の違いを解説し、それぞれのメリットや特徴を比較。どういう基準で高専か高校どちらを進路先として選べばよいのかを説明します。未来の自分に合った進路を見つけよう!
目次
高専とは?
高等専門学校の事を「高専」と呼びます。高専は日本の高等教育機関の一種で、中学校卒業後に入学し、5年間の専門教育を受けることができます。高等専門学校には工業高等専門学校と商船高等専門学校があります。
工業高等専門学校
工業高等専門学校は、主に工学、情報科学、電気電子工学、機械工学、建築学、物質科学、応用化学など、工業に関連する専門分野を中心に教育を行っています。学生は、これらの分野に関する専門的な技術や知識を習得することができます。工業高等専門学校は、全国に多数存在し、それぞれの学校が独自の特色や専門分野を持っています。
商船高等専門学校
商船高等専門学校は、海事に関する専門教育を行っている高等専門学校です。主に、航海技術、船舶工学、海洋工学、海運経済、海事法制度など、海事に関連する専門分野を学びます。商船高等専門学校は、日本には数校しか存在せず、船舶や海洋産業に特化した教育が特徴です。
高専の教育システム
高専では、1年次から専門分野に関する科目が導入され、徐々に専門性が高まるカリキュラムが特徴です。一般教育科目も履修し、幅広い知識の習得が可能です。また、実践的な技術を身につけるための実習やプロジェクト活動が充実しています。
高専卒業後の進路
引用:学校基本調査 / 令和3年度 高等教育機関《報告書掲載集計》
高専卒業後は、大学や大学院への進学、就職、起業など多様な進路があり、約6割が就職、約4割が進学しています。就職と進学に関しては高専や学科によりその割合は異なり、進学を選択する卒業生が多い学校・学科もあります。
高専は産業界とのつながりが強いのと、専門スキル・技術や専門知識を習得して卒業できる為に実践力が期待できるため、就職にも有利です。国立高専では、就職希望者の就職率100%、99%も珍しくありません。
大学への編入学も可能で、編入する場合は多くの高専生が国公立大学や難関私立大学へ進学しています。
高専と高校の教育カリキュラムの違い
高専と高校って何が違うの?という質問も多いですが、一番大きな違いは教育カリキュラムの違いです。以下に高専と高校のカリキュラムの違いと比較について説明します。
高専の専門的なカリキュラム
高専では、1年次から専門分野に関する科目が導入され、5年間のカリキュラムを通じて専門性が高まります。また、実践的な技術習得を目指す実習やプロジェクト活動が充実しており、産業界で求められる技術者としてのスキルを磨くことができます。
高校の一般教育カリキュラム
公立高校、私立高校では、3年間を通じて一般教育科目を中心に幅広い知識を学びます。選択科目やクラブ活動を通じて、興味・関心に応じた学びが可能です。また、専門分野に特化した学科がある高校では、その分野に関する知識や技術を学ぶことができます。
高専と高校のカリキュラムの比較
項目 | 高専 | 高校 |
---|---|---|
カリキュラムの特徴 | 専門性の高いカリキュラム | 一般教育を中心に幅広い知識を学ぶ |
教育期間 | 5年間 | 3年間 |
専門技術の習得 | 専門技術を習得できる | 専門分野に特化した学科もあるが、一般的には限定的 |
進路選択 | 大学や大学院への進学が主流 | 大学、短期大学、専門学校、就職など多様な進路 |
学科選択 | 途中での学科変更が難しいことがある | 学科選択が可能で、進路に応じて選択できる |
就職について | 専門知識と技術の習得に加えて、産業界とのつながりが強く就職に有利 | 一般的な就職活動を行い、職種選択肢が広い |
高専と高校の進学率と就職率の違い
高専卒業後の進学率は、大学への編入学が主で、多くの高専生が難関大学に進学しています。編入学により、高専在学時の取得単位が大学での単位として認められるため、一般の大学生よりも短期間で学位を取得することができます。一方で、高専で学んだ分野と異なる分野で編入学すると、高専在学時の単位が大学の単位として認められないため、3、4年次に単位を取るために多くの授業を受講する必要があります。
高専は専門技術の習得が可能で、産業界とのつながりが強いため、就職率が高い傾向にあります。
一方で高校卒業後の進学率は、大学、短期大学、専門学校などへの進学が主で、進学率は高校の種類や偏差値によって大きく異なります。進学先の選択肢も多岐にわたり、自分の興味や目標に合わせて選ぶことができます。就職率に関しては高専に比べると低く、多くの高校卒業生が進学を選択しています。
引用:学校基本調査 / 令和3年度 高等教育機関《報告書掲載集計》
引用:文部科学省「令和4年度学校基本統計(学校基本調査報告書)
工業高校と高等専門学校(高専)の基本的な違い
工業高校と高等専門学校(高専)の違いを以下の比較表でわかりやすく説明しています。
項目 | 高専 | 工業高校 |
---|---|---|
カリキュラムの特徴 | 専門分野に深く特化した教育。実践的な技術や研究に重点を置く。 | 基本的な技術や理論を学ぶ。一部の専門科目が含まれることもある。 |
教育期間 | 5年間 | 3年間 |
専門技術の習得 | 高度な専門技術と応用力を習得 | 初級技術者レベルの技術と知識を習得 |
指導教員の資格と授業内容 | 専門分野の修士号・博士号を持った大学と同じ研究職の教員のため、より専門的で実践的な授業内容実験実習をサポートする技術専門職員も在籍 | 教員免許を持った教師が授業 |
進路選択 | 大学編入や大学院進学、専門職への就職 | 大学への進学や専門学校への進学、就職など多様 |
学科選択 | 特化した工業関連の学科が豊富。途中での学科変更が難しいことがある | 一般的な工業関連の学科が存在 |
就職について | 専門知識と技術の習得に加えて、産業界とのつながりが強く就職に有利。ほとんどの生徒が専門職への就職または大学へ進学 | 多くの生徒が就職を目指すが、進学する生徒も多い |
この表から、工業高校は基本的な技術や理論の習得に重点を置き、様々な進路が選択可能であるのに対し、高専はもっと専門化された教育を提供し、専門職への就職や大学への進学に重点を置いていることがわかります。
高専卒業生は産業界からも需要が高く就職率が高いだけでなく、大学へ編入できるという選択肢もある事から、高い学力を持っている生徒は工業高校よりも高専受験を希望する場合がほとんどです。
高専進学のメリット
専門技術の習得
高専では、5年間の専門教育を通じて、専門分野の深い知識と技術を身につけることができます。これにより、卒業後の就職や大学進学で有利に働くことが期待できます。
就職に有利な資格取得
高専では、専門分野に関連する資格取得を目指すことができ、卒業後の就職に有利に働くことがあります。また、産業界とのつながりが強いため、インターンシップや就職活動においてもサポートが充実しています。
実践的なプロジェクト活動
高専では、実践的な技術を身につけるための実習やプロジェクト活動が充実しており、チームでの協力やコミュニケーション能力を養うことができます。これにより、卒業後の就職や社会で活躍するための基盤が築けます。
大学進学の選択肢
高専卒業生は、高専生向けの大学入試制度を利用して、大学に進学することができます。専門分野をさらに深めることができるだけでなく、多様な進路選択肢を持つことができます。
高専と高校どっちを選ぶ?選ぶ際のポイント
自分の興味・目標を明確にする
進路選択をする際には、自分の興味や目標を明確にすることが重要です。どのような職業に就きたいか、どのような分野で活躍したいかを考えることで、適切な進路選択ができます。高専は専門性の高いカリキュラムが特徴であり、特定の分野で深く学びたい場合に適しています。同じ興味関心を共有する仲間が周りに大勢いることも魅力の一つです。
一方、高校は一般教育を中心に幅広い知識を学ぶため、進路選択の幅を広げたい場合や大学進学を前提で進路を考えている場合に適しています。
将来の進路を考慮して高専と高校どちらが良いか検討する事が大切です。
進路選択における親子のコミュニケーション
進路選択をする際には、親子のコミュニケーションが重要です。子供は自分の考えや希望を保護者に伝え、アドバイスや意見をもらいましょう。また、保護者も自分の子どもの進路選択に関心を持ち、子どもの意見を尊重し、サポートしてあげることが大切です。高専と高校の違いを理解し、学費や奨学金制度、学校の雰囲気や特色を調べることで、子どもに適した進路を見つけることができます。進路選択には慎重に取り組み、自分の将来にとって最適な学びの場を選ぶことが大切です。
学費や奨学金制度を確認する
高専は国立や公立が多く、学費が比較的安いことが多いです。また、奨学金制度や学費免除制度が整っていることから、経済的な負担を軽減することができます。一方、高校の学費は国立、公立、私立によって大きく異なり、私立高校では学費が高くなります。加えて、奨学金制度や学費免除制度がある場合もあります。
学費や奨学金制度は、進路選択において重要な要素です。家庭の経済的な状況を考慮し、経済的に厳しい場合は学費や奨学金制度が整っている学校を選ぶことが望ましいです。
学校の雰囲気や特色を調べる
学校の雰囲気や特色は、学びの環境や自分が過ごす日々に大きく影響します。オープンキャンパスや学校説明会などを活用し、自分に合った学校を選ぶことが大切です。
高専と高校は、教育カリキュラムや進学率、就職率、学費などが異なります。高専は専門技術の習得が可能で、産業界とのつながりが強いため、就職に有利です。一方、高校は一般教育を中心に幅広い知識を学び、多様な進路選択が可能です。自分の興味・目標や将来の進路を考慮し、学校の雰囲気や特色を調べることで、自分に適した進路を見つけることができます。進路選択には慎重に取り組み、自分の将来にとって最適な学びの場を選ぶことが大切です。
高専と高校を両方受験することはできる?
実は、高専と高校の入試日程はほとんどの場合異なるため、両方受験することが可能です。
高専の学力試験は2月中旬の日曜日に実施され、公立高校は平日に実施されます。都道府県によって、高専と公立高校の入試日程が近くなることもありますが、事前にしっかり対策を行なっておけば問題ありません。
もちろん、高専と公立高校だけでなく、高専と私立高校、高専と公立高校・私立高校の併願も可能です。
全国の高専一覧 行きたい高専を探そう!
各都道府県の高専(高等専門学校)は以下よりご確認ください。
高専受験専門の学力アップ・受験対策をご希望の方へ
公立高校に合格できる学力に加えて、高専受験に特化した専門的な学習にも取り組みたい方にはじゅけラボ予備校の高専受験対策講座がおすすめです。今から高専合格に向けて勉強したい方を、志望高専合格まで最短ルートで導きます。中3だけでなく中1・中2から高専対策に取り組む事で合格率が大きく高まります。