国立高専の英語の入試問題は、全体的に見て公立高校入試と比べてそれほど難易度は変わりません。一方で、表やグラフを利用した長文問題や、それらの資料のデータに関する計算問題など、高専特有の問題も存在するため、そういった問題を把握した上で対策を行なっていく必要があります。
ここでは、高専の英語の入試問題を攻略するために必要な、把握すべき出題傾向や対策方法について紹介していきます。
目次
高専入試英語の出題傾向
高専入試英語の問題構成
国立高専の英語の入試問題は毎年大問6題です。
大問1は同義文完成問題、大問2は会話文補充問題、大問3が並び替え問題、大問4〜6が長文問題で構成されています。この傾向は、大問の前後があっても、ここ数年は同じです。また、長文問題の1つでは、計算問題が出題されることが多くあります。
高専入試英語の頻出分野・問題
高専入試の英語は、例年、大問1は2つの文が同じ意味になる語句の組み合わせを選ぶ同義文完成問題、大問2は会話文が成り立つのに適した英文を選択する会話文補充問題、大問3が語句を並び替えて3番目と5番目の語句をそれぞれ選択する問題、大問が出題されています。
また、大問4〜6は長文問題で、大問4は長文の内容に関する適語選択問題、大問5は表やグラフを使った長文問題で計算問題が頻出で、大問6は適文選択問題や内容把握問題が出題され小問数が多めの構成となっています。
大問1の同義文完成問題は、様々な書き換え表現の知識が求められます。また、大問5の長文問題では、英語の入試問題における計算問題というのは特徴的で、計算問題自体は難しいものではありませんが、英語長文や資料から正確に読み取る力が求められます。
高専入試英語の配点
高専入試における英語の傾斜配点
高専では、教科ごとの配点が異なる傾斜配点を採用している学校がありますが、英語についても他の科目より配点を高くしている高専があります。
例えば、長岡高専や苫小牧高専では、英語の傾斜配点が2倍に設定され、100点満点が200点満点に、鈴鹿高専や明石高専では、英語が1.5倍で150点満点に換算されます。
英語の配点が2倍の高専
- 苫小牧工業高等専門学校(北海道)
- 函館工業高等専門学校(北海道)
- 旭川工業高等専門学校(北海道)
- 釧路工業高等専門学校(北海道)
- 長岡工業高等専門学校(新潟県)
- 長野工業高等専門学校(長野県)
- 阿南工業高等専門学校(徳島県)
英語の配点が1.5倍の高専
- 鈴鹿工業高等専門学校(三重県)
- 舞鶴工業高等専門学校(京都府)
- 明石工業高等専門学校(兵庫県)
- 大阪公立大学工業高等専門学校(大阪府)
英語の配点が1.3倍の高専
- 群馬工業高等専門学校(群馬県)
高専入試の英語の問題配点
配点は、大問1が設問各2点の計10点、大問2が設問各3点の計15点、大問3が設問各3点の計10点、大問4〜6が大問3題合わせて計60点で設問各3点です。大問3の並び替え問題は、3番目と5番目の両方があっている場合のみ正答となります。
高専入試英語の実際の問題例
高専入試の英語で実際に出題された問題を紹介します。
以下の問題は、令和6年度入試の英語(本試験)の大問5のAです。
国民一人当たりの年間平均労働時間国別ランキングに関する英文と表のデータを見て答える問題で、問2(1)は、韓国の年間労働時間に対するパーセンテージから日本の年間労働時間を求める問題、(2)は全体の労働時間から平均年間労働時間を求める問題でした。
計算問題としては非常に基本的な問題ですが、本文や設問の英文の内容を正確に読解して、求めるべき数値が何かを把握できるかどうかがポイントです。
高専入試英語の公立高校との出題傾向の違い
高専と公立高校英語の出題内容の違い
高専入試と公立高校入試の英語で出題範囲に違いはありません。
大問ごとの出題傾向は一定であり、そのうち大問4〜6のうちの1題(大問5であることが多い)では、表やグラフ等の資料を使った計算問題が出題されています。英語の入試問題の中で数学の計算問題が出題されるのは、高専特有で公立高校の出題内容と傾向が大きく異なるといえます。
高専と公立高校英語の難易度の違い
高専の英語は、公立高校と難易度はそれほど変わりません。全問マーク式である点や、表やグラフと照らし合わせた読解が必要な点で難しさを感じることはあるかもしれません。
また、大問4〜6の3題が長文問題であるため、一部の都道府県と比べると読解スピードが求められ、難易度が高めです。
高専入試英語の対策方法
高専入試英語の対策スケジュール
1年開始
中学1年生から高専入試英語の対策を行う場合は、まず学校授業で進めている内容について抜け漏れが出ないように仕上げていきましょう。特に英単語の意味をすらすら答えられるようにすること、文法知識を整理して説明できることにはこだわって仕上げましょう。
余裕があれば中学3年までの単語・文法の予習にも取り組んでみましょう。
2年開始
中学2年生から対策を行う場合は、まず中1の学習内容の復習から始めていきましょう。英単語の復習を行い、代表的な意味をすらすら答えられるように仕上げるとともに、1年から既習範囲までの英文法について、目的と位置付けを整理しながら復習するのがポイントです。また、マーク式ではあるものの、似た英単語を正確に見分けるためにも、定期テスト対策や併願公立高校の対策を含めてスペルを書く練習も行なっておきましょう。
ここまでできたら、次は中学3年間の範囲について、基本内容の予習を進めていきましょう。
3年開始
中学3年生から受験対策を行う場合は、中学3年間の範囲について、受験用の英単語、英文法の教材に1冊ずつ取り組んでみましょう。いきなり受験レベルの問題集に入る必要はありません。既習範囲についてはすらすら答えられるレベル、未習範囲については英単語の代表的な意味を1つ覚えきる、内容の理解、問題の解き方の理解をすることを重視して進めてください。英単語と文法を仕上げてから長文読解問題の演習に進みましょう。
学校で習ってからでないと進めにくいという意見もありますが、高専の入試英語はスピーディな読解が必要で、傾斜配点で1.5倍から2倍換算されるところもありますので、早い段階で出題範囲全体の予習も含めて、受験対策を進めていきましょう。
高専ならではの英語対策
国立高専の英語の入試問題では、表やグラフ等の資料を読み取り、計算する問題が長文問題として出題されます。そのため、理科や社会の資料を読み取る練習や、数学の基本計算問題をスピーディかつ正確に解くための対策も効果的です。英語の対策にもつながることを意識して取り組んでいきましょう。
また、高専の英語の入試は全問マーク式ですので、当然部分点はありません。選択肢ごとになぜ正解と判断できるのか、なぜ誤答と判断できるのかといった理由や根拠を明確にして、選択問題の解答力を鍛えましょう。1問ごとの理由・根拠だけではなく、選択肢ごとに明確に言えるようにすることにより、様々なパターンの問題に対応できる力をつけることにつながります。
また、大問1の同義文完成問題の対策として、英単熟語の学習の際に言い換えの知識を習得することも意識して取り組むと効果的です。
過去問を使った高専英語対策
過去問を使った英語対策の方法は以下の通りです。
過去問は「傾向の把握と分析」「演習」「復習」の段階に分けて取り組んでいきましょう。
高専の入試の英語では、上述した通り問題番号ごとに出題内容や難易度の規則性があります。現在の自分の力で解ける問題や得意な問題、解ける可能性がある問題はどの大問のどの設問なのか、逆に苦手であったり太刀打ちできない問題はどの大問のどの設問なのか、問題や構成の傾向把握、分析を行いましょう。解ける問題や得意な問題、解ける可能性がある問題については、根拠を明確にして必ず得点できるようにしておきましょう。
その上で、自分が得点しないといけない問題、時間をかけて良い問題、見直しをしてから取り組む問題に分けて、どの問題を優先して解答するのか、どの問題まで解答できる様に時間を使うのか、といった試験戦略を立てておくことが大切です。特に大問4〜6の3題が長文問題であり、大問6は小問数が多いため、時間内に解くためにはスピーディな解答が必要です。
高専によって必要な得点は異なります。自分が英語でどのくらいの得点を取らないといけないのかを明確にして、合格するために、どのレベルの問題まで解かないといけないのか、解ける問題をどのくらいの時間で解き切らないといけないのか、しっかりと整理しておきましょう。
試験時間は50分ですので、全問解くことを目指す場合、解答時間の目安は、大問1,2,4:各5分、大問3:8分、大問5:10分、大問6:13分、見直し時間4分を目安として微調整すると良いでしょう。
演習では、立てた試験戦略に沿って時間を測って過去問を解いていきましょう。解いた後は、必ず解答の答え合わせ、見直しを行うとともに、試験戦略の微調整が必要かどうか検討しましょう。どの様に時間配分をしていたらよかったか、見直し時間の取り方や見直す問題が適切だったかなど、振り返りを行うことで試験戦略をブラッシュアップして、今の実力で取れる点数を最大化させましょう。
復習では、基本的に演習と同様ですが、ある程度問題内容を把握できている状態でしたら、解答時間を30〜40分程度に設定して練習してみても良いでしょう。
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