高専受験対策のための勉強法

高専入試の社会対策!社会の出題傾向と問題難易度に基づく最適な勉強法

高専社会の対策

国立高専の社会の入試問題は、図表やグラフなどの資料を利用した読み取り問題が頻出で、必要な情報を読み取る読解力、自分の知識と組み合わせて答える応用力が求められています。理系科目が難しいイメージのある高専入試ですが、実は社会の難易度も少し高めです。単なる知識暗記だけの学習で高専入試の社会に挑んでしまうと、得点を伸ばすのは難しく、知識同士の繋がりや関連性の把握、資料の読み取り練習が必要となります。

ここでは、高専の社会の入試問題を攻略するために必要な、把握すべき出題傾向や対策方法について紹介していきます。

高専入試社会の出題傾向

高専入試社会の問題構成

高専入試社会の問題構成

国立高専の社会の入試問題は、ここ数年、大問8題で構成されています。

大問1〜3が地理、大問4〜6が歴史、大問7、8が公民となっており、各分野から満遍なく出題されています。

高専入試社会の頻出分野・問題

高専入試社会の頻出分野・問題

高専入試の社会は、地理、歴史、公民の各分野で以下の内容が頻出です。特に地理では、ほとんどが資料の読み取り問題として出題されています。

地理

  • 世界地図と気候、人口、輸出入、その他の地域・国の特徴の資料の読み取り問題
  • 日本地図と気候、人口、産業等の資料の読み取り問題
  • 地形図に関する問題

歴史

  • 資料(史料)や対話文、地図を利用した問題
  • 出来事の時系列を問う問題

公民

  • 政治、経済、国際の各分野から満遍なく出題
  • 資料や対話文を利用した問題
  • 時事関連の問題も出題

また、地理だけでなく、歴史、公民についても、図や表、グラフなどの資料から必要な情報を読み取って、その情報と自分の知識を組み合わせて答えを導き出す問題が出題されています。

高専入試社会の配点

高専入試における社会の傾斜配点

高専入試における社会の傾斜配点

高専では、教科ごとの配点が異なる傾斜配点を採用している学校がありますが、社会で傾斜配点を採用している高専はありません。一方で、社会の試験を課さない高専があります。

社会の試験を課さない高専

  • 秋田工業高等専門学校(秋田県)
  • 鶴岡工業高等専門学校(山形県)
  • 東京工業高等専門学校(東京都)
  • 石川工業高等専門学校(石川県)
  • 岐阜工業高等専門学校(岐阜県)
  • 和歌山工業高等専門学校(和歌山県)
  • 神戸工業高等専門学校(兵庫県)
  • 都城工業高等専門学校(宮崎県)
  • 鹿児島工業高等専門学校(鹿児島県)

高専入試の社会の問題配点

配点は、大問1が計16点、大問2が計12点、大問3が計8点、大問4が計8点、大問5が計12点、大問6が計16点、大問7が計16点、大問8が計12点です。設問はどの大問も各4点です。解きやすい問題も難しい問題も同じ配点ですので、解きやすいものを優先して解くのが良いでしょう。

高専入試社会の実際の問題例

高専入試の社会で実際に出題された問題を紹介します。

以下の問題は、令和6年度入試の社会(本試験)の大問1です。

世界地図と表やグラフを使った地理の問題で、気候、産業、輸出入、二酸化炭素排出量といった、様々な内容について問われています。用語だけの暗記では解くことが難しく、地図や表、グラフから必要情報を読み取って、出題意図を捉えた上で自分が持っている知識と組み合わせて解答を導き出す必要があります。知識同士の関連性をしっかりと把握しておかないと、解答を導き出すことができません。

出典:国立高専機構公式サイト 入試過去問

もう1題紹介しましょう。

以下の問題は、令和5年度入試の社会(本試験)の大問6です。

こちらは年表と史料を使った歴史の問題です。こちらも、年表と史料の読み取りに加え、自分が持っている知識と組み合わせて解答を導き出す問題となっています。必要な知識は公立高校で必要な知識レベルと変わりませんが、時代の流れや横の繋がり、関連性を把握していて初めて正答することができます。

高専社会問題例
高専社会問題例

出典:国立高専機構公式サイト 入試過去問

高専入試社会の公立高校との出題傾向の違い

高専入試社会の公立高校との出題傾向の違い

高専と公立高校社会の出題内容の違い

高専入試と公立高校入試の社会で出題範囲に違いはありませんが、資料を使った問題が多く、特に地理はほとんどの問題が資料読み取り形式の出題となっています。地理、歴史、公共から満遍なく出題されます。

高専と公立高校社会の難易度の違い

高専の入試は、理系科目が難しいイメージを持っている受験生、保護者が多いと思いますが、実は社会も公立高校より難易度が高いです。特殊な知識や凝った難問というわけではありませんが、暗記だけで解ける知識問題が少なく、資料(史料)を読み取って答える問題が多いため、受験勉強の際には知識同士の関連性までしっかりと把握しておく必要があります。その点で、公立高校に比べて難易度が高いといえます。

とはいえ、問題文や与えられた資料を正確に読み取り、出題意図を汲み取って自分が持っている知識と組み合わせて処理することができれば十分対応可能です。

高専入試社会の対策方法

高専入試社会の対策スケジュール

高専入試社会の対策スケジュール

1年開始

中学1年生から高専入試社会の対策を行う場合は、まず学校授業で進めている内容について抜け漏れが出ないように完璧に仕上げていきましょう。授業毎に復習し、テスト勉強でも教科書やワークレベルの問題はすらすら解ける状態にすることに取り組んでいってください。

その上で説明や解説が充実した教材で中学3年間の範囲について基本内容の予習を行うことをお勧めします。つまり高専入試社会の出題範囲の全体学習を行います。完璧に理解し、解けるようにするのが理想的ですが、まずは内容の理解をすることから始めていきましょう。

2年開始

中学2年生から対策を行う場合は、まず中1の学習内容の復習から始めていきましょう。教科書やワークの基本問題を解き進めていって、知識や解き方を忘れている箇所を見つけたら、教科書で思い出し→演習で解けるようにする、の繰り返しで進めていきましょう。

ここまでできたら、次は中学3年間の範囲について、基本内容の予習を進めていきましょう。

3年開始

中学3年生から行う場合は、中学3年間の範囲について、受験用の総復習教材を進めてみましょう。いきなり受験レベルの問題集に入る必要はありません。既習範囲については問題をすらすら解けるレベル、未習範囲については内容の理解をすることを重視して進めてください。

学校で習ってからでないと進めにくいという意見もありますが、習ってからだと学習期間が短いため、早い段階で出題範囲全体の予習も含めて、受験対策を進めていきましょう。

高専ならではの社会対策

高専ならではの社会対策

国立高専の社会の入試問題は、資料を使った問題が多いため、学習内容に関連する範囲の教科書の図表や資料集を見る習慣をつけておきましょう。単に見るだけでなく、口頭で説明する練習をすると効果的です。

資料問題が多いからといって、暗記学習が不要になるわけではありません。当然に、必須知識を身につけるための学習は必要です。高専の社会では、重要語句や1対1の知識を覚えるだけでは解けない問題がほとんどです。事象の因果関係や知識同士の繋がりを意識して覚えると効果的です。

さらに、高専入試の社会では、各分野から満遍なく出題されるため、苦手分野を作らないことも必須です。苦手分野や抜け漏れのない知識、解法知識を身につけていきましょう。苦手分野を得意分野にまでするのは時間がかかりますが、基本問題を即答できるレベルには仕上げましょう。

高専の社会で頻出である以下の単元の対策は重点的に行うことが必須です。

地理

  • 世界地図と気候、人口、輸出入、その他の地域・国の特徴の資料の読み取り問題
  • 日本地図と気候、人口、産業等の資料の読み取り問題
  • 地形図に関する問題

歴史

  • 資料(史料)や対話文、地図を利用した問題
  • 出来事の時系列を問う問題

公民

  • 政治、経済、国際の各分野から満遍なく出題
  • 資料や対話文を利用した問題
  • 時事関連の問題も出題

過去問を使った高専社会対策

過去問を使った高専社会対策

過去問を使った社会対策の方法は以下の通りです。

過去問は「傾向の把握と分析」「演習」「復習」の段階に分けて取り組んでいきましょう。

高専の入試、社会では大問ごとに分野が分かれています。現在の自分の力で解ける、解ける可能性がある問題はどれか、得意な分野の大問はどれか、逆に太刀打ちできない問題はどの大問のどの設問なのか、問題や構成の傾向把握、分析を行いましょう。

その上で、自分が得点しないといけない問題、時間をかけて良い問題、見直しをしてから取り組む問題に分けて、どの問題を優先して解答するのか、どの問題まで解答できる様に時間を使うのか、といった試験戦略を立てておくことが大切です。高専によって必要な得点は異なります。自分が社会でどのくらいの得点を取らないといけないのかを明確にして、合格するために、どのレベルの問題まで解かないといけないのか、解ける問題をどのくらいの時間で解き切らないといけないのか、見直し時間をどのくらい取るのか、しっかりと整理しておきましょう。

解答時間の目安

試験時間は50分ですので、全問解くことを目指す場合、解答時間の目安は、大問1:8分、大問2:6分、大問3、4:各4分、大問5:6分、大問6、7:8分、大問6分、見直し時間:残り時間として微調整すると良いでしょう。なお、社会の問題は年度によって大問ごとの難易度が異なるため、大問1問あたり6分を基準時間として、問題数が多かったり難しそうな大問で2分前後の時間追加、問題数が少なかったり解きやすい大問で2分前後の時間短縮をする考え方で取り組むと対応しやすいです。

演習では、立てた試験戦略に沿って時間を測って過去問を解いていきましょう。解いた後は、必ず解答の答え合わせ、見直しを行うとともに、試験戦略の微調整が必要かどうか検討しましょう。どの様に時間配分をしていたらよかったか、見直し時間の取り方や見直す問題が適切だったかなど、振り返りを行うことで試験戦略をブラッシュアップして、今の実力で取れる点数を最大化させましょう。

復習では、基本的に演習と同様ですが、ある程度問題内容を把握できている状態でしたら、解答時間を30〜40分程度に設定して練習してみても良いでしょう。

高専入試対策をご希望の方へ

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この記事に関連した
よくある質問

高専入試社会の問題構成は?

国立高専の社会の入試問題は、ここ数年、大問8題で構成されています。

大問1〜3が地理、大問4〜6が歴史、大問7、8が公民となっており、各分野から満遍なく出題されています。

高専入試社会の頻出分野・問題は?

高専入試の社会は、地理、歴史、公民の各分野で以下の内容が頻出です。特に地理では、ほとんどが資料の読み取り問題として出題されています。

<地理>
・世界地図と気候、人口、輸出入等、日本地図と気候、人口、産業等
・地形図に関する問題
<歴史>
・資料(史料)や対話文、地図を利用した問題
・出来事の時系列を問う問題
<公民>
・資料や対話文を利用した問題
・時事関連の問題も出題

高専入試の社会では傾斜配点はありますか?

高専入試の社会では、傾斜配点を採用している高専はありません。一方で、社会の試験を課さない高専があります。

高専入試社会と公立高校の難易度は?

高専入試の社会は、実は公立高校より難易度が高いです。資料を読み取って答える問題が多いため、受験勉強の際には知識同士の関連性までしっかりと把握しておく必要があります。※ページ内リンク 高専入試社会の公立高校との出題傾向の違い

高専入試の社会の勉強はいつから始めればよいですか?

高専入試の社会の勉強の開始は早ければ早いほど十分な対策が可能ですので、高専に興味を持ったらなるべく早く始めていきましょう。遅くとも中学3年生の春から取り組むのが目安です。

高専入試で社会は何点取れば受かりますか?

高専入試の合格ラインは高専ごとに異なりますが、多くの高専で8割前後が目安とされています。高専志望の受験生は理系科目が得意であることが多いと思いますので、社会で9割を目指して対策していくと良いでしょう。

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