国立高専の国語の入試問題は、全体的に見て公立高校入試と比べてそれほど難易度は変わりません。一方で、長文問題の問題文の長さや図や使用を使った出題、全問マーク式解答という特徴もありますので、そういった問題を把握した上で対策を行なっていく必要があります。
ここでは、高専の国語の入試問題を攻略するために必要な、把握すべき出題傾向や対策方法について紹介していきます。
目次
高専入試国語の出題傾向
高専入試国語の問題構成
国立高専の国語の入試問題は毎年大問3題です。
大問1,2は論理的文章に関する問題で、そのうち大問1は古典や俳句・和歌等を含みます。大問3は文学的文章に関する問題が出題されています。
高専入試国語の頻出分野・問題
高専入試の国語では、語句・文法問題として、漢字表記・読み、語句の意味、品詞、接続詞を問う問題が頻出です。また、上記の通り、大問1の論理的文章では古典や俳句・和歌等が扱われます。そのため、古典の単独大問はありませんが、古典の対策は必須です。論理的文章の中には、図や資料を使った問題も見られます。
高専入試国語の配点
高専入試における国語の傾斜配点
高専では教科ごとの配点が異なる傾斜配点を採用している学校がありますが、国語については今のところ傾斜配点を設定している高専はありません。
高専入試の国語の問題配点
高専の国語の配点は、大問1が約30点、大問2が約40点、大問3が約30点です。細かな配点は年度によって異なりますが、大問2の配点が比較的多めです。設問ごとの配点は1問2〜5点に設定されています。
高専入試国語の実際の問題例
高専入試の国語で実際に出題された問題を紹介します。
令和6年度入試の国語(本試験)の大問2では、AI研究者の川村秀憲と俳人の大塚凱の対談『AI研究者と俳人 人はなぜ俳句を詠むのか』についての出題がされました。特殊な問題ではないものの、AIと俳句という理系と国語に関する高専特有とも言える文章が題材とされ、国語ではあまり見ない情報の「エンコード」「デコード」、データ形式の「MP3」「JPEG」といったキーワードも出てきました。
また、令和4年度入試の国語(本試験)の大問2では、以下のように図(グラフ)が選択肢として出題されています。見たことがない問題が出題されると焦ってしまいますが、高専入試の国語では、こういったグラフや図、表などの資料が扱われることもある、ということを想定できていれば、慌てずに冷静に取り組むことができます。読み取り自体は難易度の高いものではありませんので、冷静に取り組めば十分に解けますね。
高専入試国語の公立高校との出題傾向の違い
高専と公立高校国語の出題内容の違い
高専入試と公立高校入試の国語で出題範囲に違いはありませんが、理系の話題が扱われたり、図や資料を使った問題や図が選択肢になった出題もある点は、高専入試の国語の特徴といえます。
また、高専の国語では、古典は独立問題としては出題されず、論理的文章の中で扱われるため、単独問題として出題される都道府県の公立高校と比べると、古典の比重は少なめです。
高専と公立高校国語の難易度の違い
高専の国語は、公立高校に対して問題自体の難易度はそれほど変わりません。問題文が比較的長いため、全問解ききって高得点を狙うという点では公立高校に比べて難しいといえます。また、全問マーク式で、選択肢の難易度も高めのため、最後の1択に絞りにくい選択肢が多い傾向に有ります。
高専入試国語の対策方法
高専入試国語の対策スケジュール
1年開始
中学1年生から高専入試国語の対策を行う場合は、まず学校授業で進めている内容について抜け漏れが出ないように仕上げていきましょう。特に授業で習った語句の読み書き、意味をすらすら言えるようにするとともに、文法知識を整理しておきます。暗記事項について、一度しっかりと覚えておけば、本格的な受験勉強で復習した時に効率的に思い出して知識定着させることができます。
また、教科書その他の文章を多く読む習慣をつけておくと、読解力強化にもつながるためお勧めです。
2年開始
中学2年生から対策を行う場合は、まず中1の学習内容の復習から始めていきましょう。ワークの問題を正確に解けるようにするとともに、文章問題は答えの根拠と理由を言えるようにすると、判断力を伸ばすことができます。正解したかどうかではなく、なぜ正解なのか、なぜ間違いなのかを理由や根拠をもって判断できる力をつけていきましょう。
3年開始
中学3年生から受験対策を行う場合は、中学3年間の範囲について、語句・文法、古典の総復習から始めましょう。暗記要素の多い内容から取り組み、文章問題の演習に進みましょう。文章問題の対策には、解説が詳しい受験よう問題集から始めるのが良いでしょう。初めから難易度の高いものや解説が簡単なものに取り組むのではなく、答えの根拠や理由、どこから読み取れてどのように判断できるのかが詳しく書かれている教材を選ぶことが重要です。短期間での読解力向上は難しいですが、詳しい解説を読んで判断基準をインプットしていくことで、比較的短期間で判断できる問題を増やすことは可能です。
高専ならではの国語対策
国立高専の国語の入試問題では、文章問題の本文が長めですので、徐々に高専の国語の文章量に近くしていき、時間内に解くための練習をしていきましょう。
また、なぜその選択肢が正解なのか、間違いなのかの根拠を明確にして、選択問題の解答力を鍛えましょう。高専の国語の入試は全問マーク式ですので、当然部分点はありません。選択肢ごとになぜ正解と判断できるのか、なぜ誤答と判断できるのかといった理由や根拠を明確にして、選択問題の解答力を鍛えましょう。1問ごとの理由・根拠だけではなく、選択肢ごとに明確に言えるようにすることにより、様々なパターンの問題に対応できる力をつけることにつながります。
語句や文法問題などの覚えていれば解ける問題については必ず得点できるように仕上げましょう。多くはありませんが、合格ライン付近で競合する受験生は必ず得点していると考えた方が良いです。ここで点差があくと、他の難易度が高い問題で得点する必要があります。知識問題は全問正答することにこだわって対策をしておくと良いでしょう。
過去問を使った高専国語対策
過去問を使った国語対策の方法は以下の通りです。
過去問は「傾向の把握と分析」「演習」「復習」の段階に分けて取り組んでいきましょう。
高専の入試の国語では、語句や文法問題などの知識問題と、文章内容に関する問題があるため、知識問題に時間をかけず、文章内容に関する問題について、それぞれどのくらい時間をかけるかを素早く判断する必要があります。また、太刀打ちできない問題については、見直し後にじっくりと取り組んで、どこから読み取れてどのように判断すれば正答を導き出せるのかを確認しておきましょう。
解ける問題や時間をかければ解ける問題については、それらの問題をどのくらいの時間で解く必要があるか確認し、大問ごとに時間目標を作って時間内に解く練習をして、根拠を明確にして必ず得点できるようにしておきましょう。
高専によって必要な得点は異なります。自分が国語でどのくらいの得点を取らないといけないのかを明確にして、合格するために、どのレベルの問題まで解かないといけないのか、解ける問題をどのくらいの時間で解き切らないといけないのか、しっかりと整理しておきましょう。
試験時間は50分ですので、全問解くことを目指す場合、解答時間の目安は、大問1:10分、大問2:18分、大問3:15分、見直し時間:7分を目安として微調整すると良いでしょう。
演習では、立てた試験戦略に沿って時間を測って過去問を解いていきましょう。解いた後は、必ず解答の答え合わせ、見直しを行うとともに、試験戦略の微調整が必要かどうか検討しましょう。どの様に時間配分をしていたらよかったか、見直し時間の取り方や見直す問題が適切だったかなど、振り返りを行うことで試験戦略をブラッシュアップして、今の実力で取れる点数を最大化させましょう。
復習では、基本的に演習と同様ですが、ある程度問題内容を把握できている状態でしたら、解答時間を30〜40分程度に設定して練習してみても良いでしょう。
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