2024年度大学入学共通テスト
英語の傾向から考察
ここでは、大学入学共通テストの英語対策について、2025年度(令和7年度)入試の出題傾向や対策について解説していきます。2025年度共通テストの英語の問題傾向をしっかりと把握して正しい共通テスト対策を行っていきましょう。
目次
2024年度の英語は、どのような傾向にあったのか。項目ごとに解説します。
科目 | 満点 | 2024年度 平均点 | 2023年度 平均点 | 前年度との差 |
---|---|---|---|---|
リーディング | 100 | 51.54 | 53.81 | -2.27 |
リスニング | 100 | 67.24 | 62.35 | +4.89 |
2024年度の英語はリーディングで平均点が下がっており、難易度が上がったと感じる受験生が多かったようです。出題傾向や大問数は前年度と同じですが、2年連続の語数の増加、選択に時間がかかる問題によって、少し平均点が下がる結果になったと思われます。
2024年度のリスニングは、前年度と同様に聞き取りやすく語数も同程度でした。平均点は上がっていますが、難易度が下がったとまではいえないものの、比較的解きやすい問題が多かったです。
2024年度共通テスト英語のリーディングは、前年度と同じく大問6題の構成で、出題形式にも大きな変化はありませんでした。問題数の変化はなく、語数が200語程度増えました。語数アップと時間がかかる選択問題があったことにより、時間不足の生徒が多くなったのではないかと考えられます。難易度は昨年並み〜やや難だったといえるでしょう。
全体を通して、日常的なコミュニケーションや目にするテキスト、実際に英語を使用する場面が出題され、知識だけではない、実践的な英語力が問われていたと言えます。
リスニングも大問の数や解答数に変化はなく、昨年度に続きネイティブ以外の話者による発話があり、昨年同様の傾向だったと言えます。
2024年度共通テスト英語の大問ごとの配点は下記のとおりです。
大問 |
内容 |
配点 |
---|---|---|
1 |
A チラシの読み取り |
10 |
B 案内の読み取り |
10 | |
2 |
A チラシの読み取り |
20 |
B レビューの読み取り |
20 | |
3 |
A ブログ記事の読み取り |
15 |
B 学校新聞の読み取り |
15 | |
4 |
記事とアンケート結果の読み取り |
16 |
5 |
物語文の読み取り |
15 |
6 |
A 記事の読み取り |
24 |
B 論理的な文章の読み取り |
24 |
大問 |
内容 |
配点 |
---|---|---|
1 |
A 短い発話の内容に合う英文を選ぶ |
25 |
B 短い発話の内容に合う絵などを選ぶ |
25 | |
2 |
短い対話の内容に合う絵などを選ぶ |
16 |
3 |
短い対話の内容について、質問に対する答えを選ぶ |
18 |
4 |
A やや長めの発話の内容に沿って図表を完成させる |
12 |
B やや長めの発話の内容について、質問に対する答えを選ぶ |
12 | |
5 |
やや長めの発話の内容について、ワークシートを完成、答えを選ぶ |
15 |
6 |
A 二人の会話を聞いて、質問に対する答えを選ぶ |
14 |
B 長めの会話・議論を聴いて、質問に対する答えを選ぶ |
14 |
大問6題、全て読解問題という構成は共通テスト開始時から継続されており、日常的に目にするテキストや資料の読み取りという傾向は2025年度以降も引き継がれるでしょう。英語に限りませんが、基礎を固めた上で読解力・応用力、思考力・判断力が求められます。
目標得点を取るためには、出題形式に沿った教材を取り入れて準備する必要があります。共通テストの傾向に沿った解説・アドバイスをしてくれる問題集や参考書を吟味しましょう。特に英語は、語彙力強化、読解力強化、速読力強化、問題解答力強化をそれぞれ行う必要があります。それぞれの力を伸ばすために必要な内容を必要な時期に取り組むことが重要です。
2023年度共通テスト英語のリーディングは上述通り大問6題の構成が変わらず、出題形式にも大きな変化はありませんでした。
大問全てで読解問題が出題され、リード文・問題文・選択肢すべてが英語で記載され、英語力・読解力が問われました。
英文で書かれたテキスト、資料や図表をもとに英文に記載された情報から必要な内容を取捨選択、かつ整理し、解答する問題も多く出題されています。英文の内容を理解するのはもとより、思考力・判断力を問うという共通テストの趣旨に沿った出題だったといえるでしょう。
2024年度は前年度同様、大問1・2は音声2回、大問3〜6は1回音声が流されました。リーディングと同じく出題形式に大きな変更はなく、図表などの視覚情報の読み取りが必要な問題が出題の中心となっています。
資料・図表などをもとにし、描かれていることを読み取った上で解答する問題が多く出題されていて、放送前に事前に聞き取るべき内容を図や資料などから推測しておく必要があるでしょう。
共通テストの英語の問題傾向や対策について解説してきました。
それではどのように準備をしていけばよいのか。重複する部分もありますが、ご紹介します。
リーディングに必須の長文読解力と語彙量との相関係数は約0.8あるというデータがあります。これはかなりの相関関係がある、言い換えると、語彙量が多ければ多いほど、長文読解力もあるということです。
高校生が学ぶ単語数は全体で1800〜2500程度。共通テストでは教科書レベルの単語・熟語が問われるわけですから、対策を強化し、語彙量を増やすことで、そのままリーディング対策に繋がります。
そしてそれはそのまま個別入試の攻略にも役立つわけで、重点的に対策することが求められます。
共通テストでは文法問題は単体では出題されていません。より思考力や判断力を問うことを重視するようになり、今後も直接的に問われることはないと予想できます。
しかしそれは文法を軽視していいということではありません。文法理解ができていることを前提とした問題が出題されるということで、分厚いものでなくともいいので文法参考書を一冊完璧に理解する必要があります。
個別の大学受験では従来どおり文法問題が出題される大学が多いことが予想されるので、個別試験を攻略するための準備がそのまま共通テストの文法の準備になると言えます。
英語の共通テストでは、知識量だけを問うような文法や発音・アクセントの問題がなくなりました。英語を深く理解した上で正解を選ばなければいけない問題が多くなっています。速読力や文意を正しく捉える力、グラフや図表を分析して必要な情報を素早く見つける力などが必要になっています。
基礎基本を固めた上で読解力・理解力が求められていることを踏まえて、共通テストの傾向に沿った解説・アドバイスをしてくれる教材を吟味して、徹底的に使い倒しましょう。
人気の参考書やオリジナルで制作されたものなどが悪いわけではありませんが、自分の実力にあったものを徹底するほうが地力はつきます。
共通テストの形式に慣れるために、予想問題、共通テスト模試を解いていきましょう。 時間を図って実戦形式で解く演習方法も有効です。
事前に形式に慣れておくことで、試験本番に落ち着いて対応し問題を処理できるようになります。
共通テスト直前になったら、どのような対策をするのがいいでしょうか。
まずは、できなかった問題を繰り返しやり、確実に解けるようにしておきましょう。何度も間違ってしまう問題は、基本的なことが理解できていない可能性があります。放置すると他にも解けない問題が出てくる可能性があるため、さかのぼって復習することも忘れずに。
また、過去問や模試を使っての時間配分の確認や、リスニングに耳を慣らすことも重要。2024年度は前年度に比べて問題の語数が増え、時間を要する選択問題も出てきており、時間はタイトになってきています。せっかく解ける問題を時間切れで解けないのはもったいないので、時間内に解ききることができるようにトレーニングをしておきましょう。
2024年度 共通テスト英語 リーディングの問題傾向・構成や配点・時間配分の概要については下記のとおりとなっています。
重複する箇所もありますが、次年度に向けての参考にしてください。
大問 |
内容 |
配点 |
---|---|---|
1 |
A チラシの読み取り |
10 |
B 案内の読み取り |
10 | |
2 |
A チラシの読み取り |
20 |
B レビューの読み取り |
20 | |
3 |
A ブログ記事の読み取り |
15 |
B 学校新聞の読み取り |
15 | |
4 |
記事とアンケート結果の読み取り |
16 |
5 |
物語文の読み取り |
15 |
6 |
A 記事の読み取り |
24 |
B 論理的な文章の読み取り |
24 |
リーディングでおすすめの時間配分は、下記のとおりです。
第1問 | 10分以内 |
---|---|
第2問 | 15分以内 |
第3問 | 10分前後 |
第4問 | 10分以内 |
第5問 | 15分以内 |
第6問 | 20分前後 |
試験時間は80分なので、上記の時間でちょうどくらい。
見直し・チェックすることを考えると、それぞれであと1〜2分は縮めたいところです。
英語の設問別の時間配分の目安を記載しますが、あくまで目安の為、得意な問題傾向の設問は時間を短縮して、苦手な問題傾向の設問には時間を余分にとるなどの調整が必要になります。あと、見直しの時間も最初から考慮した時間配分で取り組めるとミスもなくなり高得点に繋がります。
問題数に比して時間が足りないという人が多いと思います。長文の読解に時間がかかると、それだけ問題に取り組む時間も少なくなり、正答率も下がります。
日常の学習や模試・過去問・予想問題などの演習で本番のように時間をはかって取り組むなどして、速読力を鍛える実践が必須です。
時間内に解ききるためのコツをいくつかご紹介します。
まず設問・選択肢を先に読んで、「何が問われているか」を把握したうえで英文を読みましょう。問題を解くために英文を読むのであって、英文の意味を完全に理解することがだいじなのではありません。
共通テストの一問あたりの配点は、だいたい2〜3点です。わからない問題にこだわって時間がなくなってしまうということは、2〜3点のために取れたかも知れない5点・10点を失う可能性があるということです。
わからない問題は潔く飛ばして、解ける問題から解いていきましょう。
2024年度 共通テスト英語 リスニングの問題傾向・構成や配点・時間配分の概要については下記のとおりとなっています。
重複する箇所もありますが、次年度に向けての参考にしてください。
大問 |
内容 |
配点 |
---|---|---|
1 |
A 短い発話の内容に合う英文を選ぶ |
25 |
B 短い発話の内容に合う絵などを選ぶ |
25 | |
2 |
短い対話の内容に合う絵などを選ぶ |
16 |
3 |
短い対話の内容について、質問に対する答えを選ぶ |
18 |
4 |
A やや長めの発話の内容に沿って図表を完成させる |
12 |
B やや長めの発話の内容について、質問に対する答えを選ぶ |
12 | |
5 |
やや長めの発話の内容について、ワークシートを完成、答えを選ぶ |
15 |
6 |
A 二人の会話を聞いて、質問に対する答えを選ぶ |
14 |
B 長めの会話・議論を聴いて、質問に対する答えを選ぶ |
14 |
リスニング力をつけるために、最初から試験音声等を聞くところからスタートする受験生もいますが、まずは実際の音声に似せて英文1文を発声できるようにすることが重要です。リスニングの難しさは、認識している単語や熟語の音声と実際に読まれる時の音声の違いによって生じます。
実際に英文が読まれる時は、単語が連続していますので、強く読まれるところ、弱く読まれるところ、音が消えてしまう、変わってしまうところなど、単語単体で聞くのとは異なる聞こえ方がします。そのため、まずは自分で、実際の音声に似せて発生できる単位を単語→熟語や連語→句→節→文の順に長くして行くのが効果的です。
音声付きの例文暗記の教材を利用するといいでしょう。
リスニング力をつけるには日常的に英語の聞き取りをすることが大事です。
ただ、漫然と聴いているだけではさほど効果はありません。共通テスト英語のリスニング問題をしっかり聞き取れるようになるには、問題音声が何を言っているか、スクリプトのとおりに聞こえるようになるまで何度も音源を聞くことが効果的です。最初から問題文を見ずに聞き取るのは大変なので、問題文を観ながら何を言っているかを把握し、そのあとは問題文通りに言っているのが聞き取れるようになるまで繰り返し聴きましょう。
そうすると、聞きとれなかった部分が自然と聞こえるようになってきます。これを繰り返しましょう。
共通テスト英語のリスニングでは、図や表を組み合わせた問題が出題されます。問ごとに図や問題文を読むための時間が与えられますが、このときに回答に関係しそうな箇所をチェックしておくことで、流れてくる音声が聞き取りやすくなります。リスニングの問題演習を繰り返して、共通テストリスニングのくせに慣れておきましょう。
基礎的な知識が身についていることを前提に、思考力や応用力を問われるというのが全教科・科目を通じての共通テストの傾向となっています。
他教科の共通テストの科目別問題傾向と対策も詳しく説明していますので、是非参考にして共通テスト対策の勉強を進めていきましょう。
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