センター試験から大学入学共通テストに変わり、その違いや共通テストの対策の仕方に不安を感じている受験生が多いことでしょう。
ここでは、大学入学共通テストの英語対策について、2021年度(令和3年度)入学出題傾向やセンター試験からの変更点、共通テストの英語では何が求められるのか解説していきます。2021年度共通テストの英語の問題傾向、センター試験との違いをしっかりと把握して正しい共通テスト対策を行っていきましょう。
2021年共通テスト英語とセンター試験英語 範囲・難易度・レベル・形式などの違い分析
共通テストの英語は、センター試験の英語と出題形式に大きな変化がありました。
リーディングが200点・リスニングが50点だったのが、リーディング・リスニングがともに100点満点となり、センター試験のときと比較してリスニングの比重が大きくなったことが大きな違いです。
2021年度の英語の共通テストでは、文法や発音・アクセントの知識問題がなくなり、英語を理解した上で選択肢を選ぶ問題が多くなっています。
全体的に大きな変化があった共通テスト英語ですが、平均点は前年並みでした。教科書の範囲が対象であることは変わりないので、しっかりと準備すれば得点できるということを示しています。
重要度を増したリスニングに関しては、これまで以上に入念な準備が求められるようになりました。音声への慣れや会話の場面を想像しながら聞くことが大切です。適切な情報を聞き漏らさないよう、必要に応じてメモを活用することを心掛けましょう。
共通テストの出題形式に沿った問題集や参考書を取り入れよう
英語に関しては出題形式に大きな変化があったため、共通テストの出題形式に沿った教材を取り入れて準備する必要があります。基礎を固めた上で読解力・理解力が求められていることを踏まえて、共通テストの傾向に沿った解説・アドバイスをしてくれる問題集や参考書を吟味しましょう。
2021年度(令和3年度)大学入学共通テスト英語〈リーディング〉の問題傾向と配点
設問別の配点と問題傾向・問題構成
リーディングの大問ごとの問題傾向・構成や配点の概要については下記のとおりとなっています。
第1問 10点
A テキストメッセージのやり取り
対話式の文章を読み、設問に答える形式です。会話形式ではなく、SNSでテキストメッセージを交換しているという想定になっています。
B ファンクラブの案内
ファンクラブへの加入に関するweb siteを読み、設問に答える形式です。設問に応じた情報を資料から読み取る必要があります。
第2問 20点
A バンドコンテストの結果と評価
バンドフェスティバルに関する3種類の表に基づいて、設問に答える形式です。事実と意見を分けて読み取る設問が特徴的です。
B 新しい学校方針
学校の方針に関するメールを読み、設問に答える形式です。A問題と同様に、事実と意見を分けて読み取ることを要求しています。
第3問 15点
A 旅行情報に関するウェブサイト
自分の滞在しているホテルから旅行をすることを想定し、計画を立てる形式です。文章の内容だけでなく、読み取った情報を計算して解答を選ぶ必要がありました。
B ボランティア募集の投稿
ボランティアを募る文章を読み、設問に答える形式です。読み取った情報を時系列に沿って並べ替える問題が出題されました。
第4問 姉妹校の生徒を招く計画に関するメール
2人のメールのやり取りに加えて、表とグラフから情報を読み取り整理する必要がある設問です。第3問に引き続き、情報を時系列に沿って整理し解答する問題が出題されました。
第5問 雄牛と飼い主の物語 15点
プレゼンテーションのコンテストに出場することを想定し、内容をプレゼンテーション用資料にまとめていくという形式です。情報を読み取るだけでなく、実際の作業を想像しながら設問に解答する必要がありました。
第6問 24点
A アイスホッケーに関する記事
授業で取り組むプロジェクトの一環として資料を読み、ポスターを作成することを想定した設問です。
作成予定のポスターを見て空欄を埋める形式で、必要な情報を文章から読み取る必要がありました。
B 人工甘味料に関する文章
資料を読み、表を完成させる設問です。本文の内容と選択肢が部分的に正しい選択肢が含まれており、正しい選択肢を選ぶことが難しい問題が含まれていました。
2022年度(令和4年度)大学入学共通テスト英語〈リーディング〉の対策ポイントと時間配分
過去問や例題・予想問題などで形式に慣れよう
大学入学共通テストの英語のリーディングの問題傾向として特徴的なのが、分量が増加したことです。文章の難易度はそれほど高くないので、必要な情報を素早く読み取ることがポイントです。
また、事実と意見を区別する設問や時系列に沿って選択肢を並べ替える設問等、読み取った情報をもとに考える必要がある設問も出題されました。情報を素早く読み取るだけでなく、情報を整理しながら読解する力を身につけている必要があります。
加えて、明らかに通常と形式が異なる問題やイギリスに関する資料に基づいて出題されている問題もありました。イギリス英語特有の表現を知っているに越したことはないですが、そのことに限らず多種多様な文章や資料に慣れていると、落ち着いて解答できるでしょう。
リーディングで「解き終わらない!」「時間足りない!」を防ぐおすすめの時間配分
リーディングでおすすめの時間配分は、下記のとおりです。
ちなみに、試験時間は80分なので、上記の時間でちょうどくらい。
見直し・チェックすることを考えると、それぞれであと1〜2分は縮めたいところです。
英語の設問別の時間配分の目安を記載しますが、あくまで目安の為、得意な問題傾向の設問は時間を短縮して、苦手問題傾向の設問には時間を余分にとるなどの調整は必要になります。あと、見直しの時間も最初から考慮した時間配分で取り組めるとミスもなくなり高得点に繋がります。
長文の速読力が鍵。過去問での演習が必須
問題数に比して時間が足りないという人が多いと思います。長文の読解に時間がかかると、それだけ問題に取り組む時間も少なくなり、正答率も下がります。
日常の学習や模試・過去問・予想問題などの演習で本番のように時間をはかって取り組むなどして、速読力を鍛える実践が必須です。
過去問や予想問題などで解き方のコツをつかもう
時間内に解ききるためのコツをいくつかご紹介します。
設問・選択肢を先に読む
まず設問・選択肢を先に読んで、「何が問われているか」を把握したうえで英文を読みましょう。問題を解くために英文を読むのであって、英文の意味を完全に理解することがだいじなのではありません。
わからない問題はとばす
共通テストの一問あたりの配点は、だいたい2〜3点です。わからない問題にこだわって時間がなくなってしまうということは、2〜3点のために取れたかも知れない5点・10点を失う可能性があるということです。
わからない問題は潔く飛ばして、解ける問題から解いていきましょう。
2021年度(令和3年度)大学入学共通テスト英語〈リスニング〉の問題傾向
第1問
A:発話の聞き取り 16点
短い発話の内容に合う選択肢を選ぶ問題でした。再生された文章を聞き取るだけでなく、その様子を想像しながら、状況を整理することが求められました。
B:発話の聞き取り 9点
短い発話の内容に合うイラストを選ぶ問題でした。4つのイラストには共通点や相違点があるので、放送が流れる前にポイントを把握しておくことが大切です。
第2問 対話の聞き取り 16点
放送文に合うイラストを選ぶ問題でした。事前に選択肢を読み、放送を聞きながら正答を絞り込んでいく必要がありました。
第3問 対話の聞き取り 18点
対話を聞き、質問に対する答えを選ぶ問題でした。ここでも、事前に選択肢を確認し、どんなことを放送で聞き取ればよいのかを確かめておくことが大切です。
第4問
A:校外での過ごし方の調査結果 / DVDショップでの値下げについての説明 8点
説明を聞いた後、円グラフや表の項目を埋める形式でした。途中で話の結論が変わるものもあったので、最後まで注意して聞く必要がありました。
B:ニューヨークでおすすめのミュージカルに関する4名の説明 4点
説明を聞き、条件に合うミュージカルを選ぶ問題でした。選択肢で登場する言葉とは異なる表現や言い回しだったため、注意して聞き取る必要がありました。
第5問:幸福観に関する講義 15点
講義に関する放送を聞き、ワークシートを完成させながら講義内容の理解を問う設問でした。放送文の内容を理解し、選択肢の内容と照らし合わせながら解き進める必要がありました。
第6問
A:フランス留学についての2名の対話 6点
対話を聞き、それぞれの発言に関する設問に答える形式でした。対話が長くなり、聞き取った内容を理解できているかがポイントでした。
B:レシートの電子化に関する4名の学生の議論 8点
学生の議論を聞き、賛成者と反対者の意見を表す図を選択する問題でした。複数の学生が順番に発言するため、内容を整理するのがやや難しかったです。
2022年度(令和4年度)大学入学共通テスト英語〈リスニング〉の対策
英語に関しては高等学校学習指導要領で、自然な英語表現に基づくコミュニケーション力を身につけることが重視されています。リスニングはその力を測るため、単語・熟語の暗記や文法の理解にとどまらず、英語を自然に支える力があるかどうかをためされています
放送分の内容を聞き取れるかどうかというだけでなく、話の要点を掴むことが必要です。単に英語を聞く時間を増やすだけでなく、目的をもってリスニングする時間を多く確保する必要があります。また、問題演習の際は、何を聞き取ったらよいかを、選択肢を読むことで検討をつけておくことが大切です。
共通テスト英語の勉強法
ここまで、共通テスト 英語の問題傾向や時間配分などをお伝えしてきました。
それではどのように準備をしていけばよいのか。
重複する部分もありますが、ご紹介します。
単語・熟語は徹底的に
リーディングに必須の長文読解力と語彙量との相関係数は約0.8あるというデータがあります。これはかなりの相関関係がある、言い換えると、語彙量が多ければ多いほど、長文読解力もあるということです。
高校生が学ぶ単語数は全体で1800〜2500程度。共通テストでは教科書レベルの単語・熟語が問われるわけですから、対策を強化し、語彙量を増やすことで、そのままリーディング対策に繋がります。
そしてそれはそのまま個別入試の攻略にも役立つわけで、重点的に対策することが求められます。
文法もしっかりおさえよう
2021年度の共通テストでは、文法問題は単体では出題されませんでした。事前に実施された試行調査でも出題はされておらず、より思考力や判断力を問うことを重視するようになり、今後も直接的に問われることはないと予想できます。
しかしそれは文法を軽視していいということではありません。文法に関する知識を間接的に問う問題が出題される可能性が高く、文法問題集などの教材を一冊徹底的にやり、文法を習得する必要があります。
個別の大学受験では従来どおり文法問題が出題される大学が多いことが予想されるので、個別試験を攻略するための準備がそのまま共通テストの文法の準備になると言えます。
教材の吟味
繰り返しになりますが、2021年度の英語の共通テストでは、知識量だけを問うような文法や発音・アクセントの問題がなくなりました。英語を深く理解した上で正解を選ばなければいけない問題が多くなっています。速読力や文意を正しく捉える力、グラフや図表を分析して必要な情報を素早く見つける力などが必要になっています。
基礎基本を固めた上で読解力・理解力が求められていることを踏まえて、共通テストの傾向に沿った解説・アドバイスをしてくれる教材を吟味して、徹底的に使い倒しましょう。
人気の参考書やオリジナルで制作されたものなどが悪いわけではありませんが、自分の実力にあったものを徹底するほうが地力はつきます
形式慣れする
共通テストの形式に慣れるために、試行調査や予想問題、共通テスト模試を解いていきましょう。 時間を図って実戦形式で解く演習方法も有効です。
事前に形式に慣れておくことで、試験本番に落ち着いて対応し問題を処理できるようになります。
英語以外の他教科の大学入学共通テスト対策
英語共通テストでは、センター試験から出題傾向が変化するため、受験対策も共通テストに対応して行う必要があります。以下では英語以外の他の教科の共通テストの科目別問題傾向と対策を詳しく説明していますので、是非参考にして共通テスト対策の勉強を進めていきましょう。