2024年度大学入学共通テスト
化学の傾向から考察
大学入学共通テストの傾向も定まってきて、知識の量ではなく、応用力や分析力を問う傾向が定着してきました。
ここでは大学入学共通テスト・化学の出題傾向・対策などを解説していきます。共通テストの傾向をしっかりと把握して正しい共通テスト対策を行っていきましょう。
目次
2024年度の共通テスト化学はどのようになっていたのか。項目ごとに解説します。
2024年度大学入学共通テストの化学は、平均点も+0.76と横ばいで難易度は維持と言えるでしょう。
科目 | 満点 | 2024年度 平均点 | 2023年度 平均点 | 前年度との差 |
---|---|---|---|---|
化学 | 100 | 54.77 | 54.01 | +0.76 |
文章を読み解いたり、図やグラフを読み取ったりと、読解力と思考力を要する問題が頻出。目新しい内容としては、高校の教科書ではあつかわれない、質量分析法に関する問題が出題されました。昨年より易化しました。
正答を2つ選ぶ問題が出題された。また、2023年度に出題された、数値を桁ごとに解答する問題や、方眼紙を用いる問題は出題されませんでした。2023年度に引き続き、高校化学において深く学習しない内容に関する説明文を読み込み、考察する問題が出題されました。
2024年度共通テスト化学の大問ごとの配点は下記のとおりです。
大問 | 内容 | 配点 |
---|---|---|
1 | 物質の構成と状態 | 20 |
2 | 物質の変化・平衡 | 20 |
3 | 無機物質 | 20 |
4 | 有機/高分子化合物 | 20 |
5 | 無機物質、物質の変化 | 20 |
昨年の共通テスト同様に、必答問題が2題・選択問題3題から2題の選択の合計4題を解答する形での出題でした。
第4問では医薬品に関する問題、第5問では質量分析法に関する問題が出題されています。大問数は5題で変化はありませんでしたが、設問数は18から19に増加し、マーク数は35から31に4つ減少しました。昨年と比べて出題形式に大きな変化はありませんでしたが、全体を通して思考力を要する問題が多く出題されました。
第1問の問4、第2問の問3・4、第3問の問4、第4問の問4、第5問は、図やリード文を正しく読み取った上で解答を導く必要があり、解答に時間を要する問題でした。第2問の問3は電池の量的関係に関する問題で、方針が立てづらいものでした。
第4問の問3はペプチドの呈色反応に関する典型的な題材でしたが、アミノ酸だけでなく、側鎖にアミノ基をもつタンパク質やペプチドもニンヒドリン反応を示すことを押さえておく必要があり、正確な知識が要求される問題でした。
第5問の問3aは質量分析法に関するもので、リード文の説明や与えられた例から内容を理解し、考察する能力が問われました。
共通テスト化学の問題傾向や配点などをお伝えしてきました。それではどのように準備・対策をしていけばよいのでしょうか。
ここでは、共通テスト 化学のおすすめの勉強法を紹介します。
共通テストの内容を見てみると、基礎的な内容から発展させた構成の出題が多くみられます。普段の学習で基礎的な内容を身につけていることはもちろん、発展的な内容を類推することが大切である。幅広いレベル・ジャンルの問題演習に繰り返し取り組みましょう。
2023年度と同様に小問集合を中心とした出題が続いており、この形が定着してきています。小問集合では問われる範囲が広くなることから、全範囲を抜けもれなく学習することが肝要です。
幅広い分野から偏りなく出題されるため、苦手分野を残すと得点にひびきます。基礎的な事項から丁寧に理解し、演習を繰り返し、苦手分野をなくしましょう。
共通テストの化学は難易度が高いですが、最初から難解な問題集にチャレンジするよりも基本的な問題集・参考書を徹底的に理解するほうが、最終的に得点に繋がりやすいです。自分のレベルに合った教材から徹底的に仕上げていき、徐々にレベルアップしていきましょう。
2023年度に続いて、個別試験レベルの問題、処理に時間のかかる問題が出題されています。共通テスト対策でも、個別試験レベルの典型問題や頻出問題については、迷うことなく解ける状態を作っておきましょう。共通テストの直前であっても、個別試験レベルを想定した演習を積んでおくことが望ましいです。
また、答えに至るまでの方針が立てづらい問題が多いため、解き方を覚えるだけではなく、本番には何に着目して、誘導から何を捉えるのか、何を検討するのかを整理し、実際のアプローチ手順をイメージしてみましょう。
基礎を抑えたら、次に演習です。その際には共通テスト模試や予想問題集、共通テストの過去問にも積極的に取り組みましょう。共通テストとセンター試験は傾向が異なる部分もありますが、センター試験の問題自体は良問が多く十分参考になります。
時間内に問題解決に導けるスピードを身につけるため、時間を測りながらの演習も必須です。
文系の生徒で共通テストでのみ化学を受験する場合、できれば春から、遅くとも夏ぐらいからは取り組みましょう。早めに取り組み知識の定着を図った上で演習に取り組みましょう。
現在の知識レベルによって何時間の学習をすればよいかは異なりますが、ベースがなければその分習得時間を割かなければいけなくなります。主要教科に割く時間が少なくなってしまうので、少しづつでもいいので早めに取り組むことをおすすめします。
共通テスト直前になったら、できなかった問題を繰り返しやり、確実に解けるようにしておきましょう。何度も間違ってしまう問題は、基本的なことが理解できていない可能性があります。放置すると他にも解けない問題が出てくる可能性があるため、さかのぼって復習することも忘れずに。
また、過去問や模試を使っての時間配分の確認も重要です。
せっかく解ける問題を時間切れで解けないのはもったいないので、時間内に解ききることができるようにトレーニングをしておきましょう。
基礎基本を固めた上で読解力・理解力が求められていることを踏まえて、共通テストの傾向に沿った解説・アドバイスをしてくれる教材を吟味して、徹底的に使い倒しましょう。
人気の参考書やオリジナルで制作されたものなどが悪いわけではありませんが、自分の実力にあったものを徹底するほうが地力はつきます。
共通テストは読解量が多くなり、時間がタイトになっている傾向にあります。ここでは時間配分の例を紹介します。共通テスト化学の時間配分例は下記のとおりです。
試験時間は60分。見直し・チェックは余裕を持って行いたいところなので、時間を短縮できるよう工夫が必要です。
大問1 | 11分 |
---|---|
大問2 | 11分 |
大問3 | 11分 |
大問4 | 11分 |
大問5 | 11分 |
見直し | 5分 |
計 | 60分 |
設問別の時間配分の目安を記載しますが、あくまで目安の為、得意な問題傾向の設問は時間を短縮して、苦手問題傾向の設問には時間を余分にとるなどの調整は必要になります。あと、見直しの時間も最初から考慮した時間配分で取り組めるとミスもなくなり高得点に繋がります。
読解が必要な応用問題に十分時間をかけられるようにするためにも、典型問題を素早く正確に解く練習が必要といえます。
また、わからない問題にこだわって時間がなくなってしまうとあとの大問をまるまる解けないということもありえます。わからない問題は潔く飛ばして、解ける問題から解いていきましょう。
共通テスト化学は、単純に知識の暗記では解けない問題が多く出題されています。共通テスト全体の傾向ではありますが、化学はとくにその傾向が顕著です。個別試験と同等レベルの問題も出題されることがあり、満点を目指すにはしっかりした準備が必要です。
偏りなく全分野にわたって出題されるため、まずはすべての分野で教科書内容を理解することが前提です。そのうえで標準レベルの問題集を一冊、もれなく完全に理解・解答できるようになることを目指しましょう。どの問題が出てきたらどの公式・解法を使うのかを掴むことが大切です。問題集や参考書を使って問題をたくさん解き、公式・解法を使いこなせるようにしましょう。また、ふだんの学習時に問題と答えだけでなく、関連事項やコラムも含めて化学の文章を読み慣れていると有利です。
そこまでできれば、あとは素早く解くトレーニングに移ります。過去問や模試などを活用し、本番に焦ってしまわないように、余裕を持って解ききれるくらいまで演習を繰り返しましょう。
物理・化学・生物・地学のどれを選択するのが最も最適なのでしょうか。これは一概には言えず、自分が受験したい大学の受験科目か、得意不得意はどうか、理系の場合は組み合わせをどうするかなど、いろんな観点で選択する必要があります。
他の科目の学習負担や受験する大学で利用できるかどうかなどを確認した上で選択しましょう。
共通テスト理科では、下記のパターンから科目選択して受験することになっています。
・文系:基礎科目から2科目 または 基礎を付さない科目から1科目
・理系:基礎を付さない科目から2科目 または 基礎科目2科目と基礎を付さない科目1科目
理系の国立・公立大2次試験や私立大個別試験では、理科のうち1科目または2科目選択が指定されていますが、多くの場合、基礎科目と基礎を付さない科目の全範囲から出題されます。
自分が受験しようと考える大学・学部に必要な科目は何かを把握し、いざ受検というときに必要科目を受けられるように選択しましょう。
基礎的な知識が身についていることを前提に、思考力や応用力を問われるというのが全教科・科目を通じての共通テストの傾向となっています。
他教科の共通テストの科目別問題傾向と対策も詳しく説明していますので、是非参考にして共通テスト対策の勉強を進めていきましょう。
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